
福祉分野担当教授
中尾 賀要子 (女性活躍総合研究所 所長)
多様な背景を持つ人々の尊厳を守り、社会の不条理に向き合うソーシャルワーク研究
- プロフィールについて教えてください。
- ソーシャルワークが専門で、齢を重ねること(Aging)と価値観や信条といった目に見えない文化(Culture)の交差によって周縁化される人々、そうした方々へのソーシャルワークとは、ということをつらつらと考えてきました。多様な背景を持つ人々のエンパワメントや、尊厳ある生活を支えるための働きかけに関心を持っています。
- 研究内容について教えてください。
- 日系アメリカ人と高齢化、在米被爆者支援、福島のソーシャルワーク、LGBTQ+と高齢化などが、現在までの研究キーワードです。脈絡がなさそうなのですが、人は自分の意思決定を超えたところで起きたできごとに影響を受けた場合、その後の人生をどう生きるか、その時どのようなソーシャルワークが役に立つのかという問いが通底しています。
- なぜその研究が社会にとって必要なのかを教えて下さい。
- 人の意思決定を超えたところで起きるできごととして、戦争(人災)や地震(天災)といった災害が挙げられますが、非日常であるがために一部の人々に対して偏見や差別が生じることがあります。また、その時代背景や人間社会に特有の価値観によって生じる偏見や差別もあります。ソーシャルワークはそのような不条理に対峙する機能の一つであり、研究を通した概念化や理論化によって次世代に伝承できる知恵となるのではないか、そしてその先には平和があるのではないかと考えています。
- ご担当の科目の臨床教育学の中での役割を教えてください。
- 「社会調査法」と「人間・社会福祉学」の関連科目を担当しています。社会調査法では福祉課題の実態を把握するための手がかりとして質的研究のアプローチを、人間・社会福祉学の科目では人と社会構造の関係性の中でもAgingにまつわるあれこれを取り上げています。対人支援に従事する立場であれば、専門は違っても有用な視座につながるのではないかと思います。


- ゼミ運営の特長として意識されていることはありますか。
- ゼミは、参加者のみなさんが自らのことばで表現するためのお手伝いをする場、という意識で運営しています。その傍らには茶と菓子、時に飯、が特徴かもしれません。
- どんな経験や関心をもつ学生に進学してほしいですか。
- 対人支援の現場で、人とは違う経験や関心を持っていると思う方、その実践を俯瞰して言語化してみたい方、そして自らの経験や知見を現場に還元したい方、お待ちしています。

- これから受験しようとする方へメッセージをお願いします。
- Age is just a number.学ぶ姿勢に年齢制限はないと思います。本研究科では、現場や専門が違っても、共通の思いを持つかけがえのない仲間に出会えるはずです。迷うなら進んでみましょう。
