― 臨床教育学分野(夜間) ―
安東 由則
専門領域:教育社会学
研究テーマ
研究生活の初め頃は、明治期中等学校における身体やスポーツを対象とする歴史的な研究を行っていましたが、本学の教育研究所に赴任してから大きく方向転換。現在は日本やアメリカの女子大学に関する比較研究や私立中学・高校のサバイバル戦略の調査研究を行っています。これらの研究では、インタビューなどの質的分析と量的データ分析の双方を用います。大学院では、研究計画や調査方法などの授業も担当。
この大学院に20年近くおりますので、実に様々な分野の社会人実践者の取り組みや苦労を学ばせてもらい、エネルギーをいただいてきました。修論指導における私の役割は、皆さんの実践に対するエネルギーを客体化し整理して、組み立てなおすお手伝いだと思っています。
森脇 健夫
専門領域:教育実践(方法)学 教師教育学
研究テーマ
長年、教員養成教育にかかわってきました。教師の卵がどのように「教師」になるのか、また現場での実践経験を経て、初任教師が中堅、熟練教師へと成長発達していくのか、学校現場や教員研修にかかわりながら考えてきました。学力形成のための授業づくりについても全国学力学習状況調査等の分析を重ね、具体的な提案も行ってきました。 また、教師の専門性を育むための「対話的事例シナリオ」を用いたPBL教育についてもその開発や評価方法の探求も共同研究として行ってきました。
自分の行ってきた実践経験を、日々の忙しさの中でなかなか「相対化」したり「冷静に見つめる」機会が持ちにくいのではないかと思います。 そういった時間と空間(場所)になればいいなと思います。また理論と実践の往還関係の中で、新たな課題を発見したり、課題解決の方法を見つけることができるよう、ともに探究したいと考えています。
志水 宏吉
専門領域:教育社会学、学校臨床学
研究テーマ
地元兵庫県西宮市の出身です。学生時代に教育社会学という学問に出会い、自らの教育経験の意味・意義を鮮やかに描き出してくれることに惹かれました。以来、学校社会学の領域で、現場志向の研究を積み重ねています。「学校文化」「フィールドワーク」「マイノリティ」という3つの言葉が、私の研究のキーワードです。近年は、外国人・障害者・貧困層といった社会的カテゴリーに含まれる子ども・若者たちの教育経験を聞き取り調査によって当事者の視点から明らかにし、よりよい学校システムのあり方を探究する共同研究に従事しています。
大学院で行う研究活動は、それまでの学校段階あるいは社会人生活のなかで皆さんが経験してきた「勉強」と呼ばれる学習活動とは性質の異なるものです。既存の知識にもとづきながらも、自分なりの新たな知を創造することが求められます。皆さんの研究活動を、私なりの哲学と方法とでサポートしていけたらと考えています。
河合 優年
専門領域:臨床発達心理学
研究テーマ
発達心理学を専門としています。人間発達における生物学的要因と環境要因の寄与について、子どもを誕生時から追跡することによって研究しています。この追跡という研究手法を使って、小学校に入学した児童の学校適応についても研究しています。 現在は、大阪大学を中心とした大学間共同研究に参加し、学校における子どもたちの心理的健康についての共同研究に参画しています。
子どさまざまな場面での人間行動を、心理学的方法を用いて理解することを学びます。人の行動を科学的に理解したいと思っている人たちに来ていただきたいと思います。ここで得た知識や方法は、みなさんが学び続ける力になると思います。
倉石 哲也
専門領域:臨床福祉学
研究テーマ
家族臨床、保護者支援が研究の柱です。神戸市で学齢期・思春期の子育てで行き詰まりを感じている保護者を対象とした親支援講座を2000年から継続しています。約10年かけてプログラムを開発し、当事者が支援プログラムを運営しても一定の効果が現れるようになっています。 西宮市、神戸市などと連携し、要支援家庭への支援のあり方について、保育所研修、保育所スーパービジョンを行っています。また大阪府では児童虐待ケースの措置に関する審査会への出席、福祉専門職スーパーバイザー養成研修のプログラム開発を行っています。
「虚実皮膜」を大切にしましょう。理屈や理想が「虚」、現実が「実」、「皮膜」はそれらの間、つまり実践家が苦心し工夫しながら構築した実践の知です。臨床教育学を通して皮膜にある実践知を「形」に表しましょう。
中井 昭夫
専門領域:発達行動小児科学、小児精神神経科学、子どものこころ
研究テーマ
医学博士。小児科専門医・指導医、子どものこころ専門医、公認心理師、臨床発達心理士、日本小児精神神経学会認定医、子どもの心相談医。小児科医、心理士として、大学病院、子ども療育センター、連合小児発達学研究科、子どもの睡眠と発達医療センター等で発達障害、小児精神障害、子どもの心の問題や睡眠障害について診療、研究、教育に携わってきました。子どもの脳とこころの発達への感覚・運動、睡眠、食事など「身体性」からのアプローチという観点で診療や研究に取り組んでいます。特に、「不器用」と言われる発達性協調運動障害(DCD)について複数の国際・国内共同研究、学会・啓発活動などを行っています。
発達とは、遺伝的素因と胎児期からの身体性を介した環境との複雑な相互作用の連続的変化なのですが、この環境の中には、いつ、誰と、どんな出会いをするかということも含まれます。当研究科で、子どもとその家族、支援者を支えるひとりの大人として、リサーチマインドと高い専門性をもつジェネラリストに、そして、多職種・多施設によるリエゾン(連携)支援のために、繋がる力、繋ぐ力を身につけて欲しいと思っています。
― 教育学分野(昼間) ―
鶴 宏史
専門領域:保育学、子ども家庭福祉学
研究テーマ
保育者の専門職倫理、すなわち、保育者が実践を行う上で何を大切して、どのように行動するべきか、その指針に関する研究を行っています。具体的には、海外と日本の倫理綱領の比較、海外の保育者の倫理教育に関する文献の分析、保育者を対象としたアンケートやインタビューを通して保育者が遵守するべき価値や倫理を明らかにしようとしています。
「保育」は実践的にも、学問的にもとても魅力ある分野だと考えています。保育学を共に学びましょう。そして、大学院は自らの「問い」をとことん追求する場所です。そのために、私の講義・演習では多くの文献を読み、そして、多くの議論をする環境を作りたいと考えています。
西本 望
専門領域:家庭教育、親子関係論、ECEC(幼児教育・保育)
研究テーマ
多角的な視野から、親子・家庭、教育・保育実践、地域活動など独創的、積極的に忍耐強くとりくんで、時間・労力・経費を惜しまず、何事をも厭わないでとりくんでください。ただし特別な配慮が必要なときは申し出てください。
松下 良平
専門領域:教育学、教育思想
研究テーマ
教育についての原理的研究を専門としています。J.デューイの思想をはじめとする過去や現在の教育思想・教育論を幅広く踏まえながら、道徳教育論や学習論(それを踏まえた教育論)を中心に研究しています。道徳教育や学習・教育についての従来の考え方を徹底的に問い直し、教育の具体的なあり方を見据えながら、新しい枠組みを提示することをめざしています。
教育は実に多様な相貌をもち、謎に満ちています。人間を都合よく作りかえるための単なる手段などではありません。違和と魅力を同時に感じながら教育の謎に挑戦してみませんか。
― 臨床心理学分野(昼間) ―
萱村 俊哉
専門領域:発達神経心理学、臨床発達心理学、健康心理学
研究テーマ
もともとは発達障害の不器用さ(協調運動障害)に関する基礎研究に従事してきましたが、学校教育や家庭教育に強い関心を持っていたため、2000年ごろから、小中学校への巡回相談や教育センターにおけるアセスメント、学内心理相談室でのカウンセリングやプレイセラピーの実践、指導などにかかわるなど、臨床へと軸足を移しました。神経心理学の理念や理論を学校や家庭に受け入れられやすいかたちに翻訳し、それを学校や家庭に浸透させることが私の目指すところです。このことが、ともすれば起こりがちな先生と生徒、親と子どもの間の「ボタンの掛け違い」を未然に防ぐと信じているからです。
子どもの発達や発達障害に関係する生理的、心理的、社会的な要因すべてに関心をもって研究と臨床活動を続けてきました。今、時代や社会の急変を実感しています。そのような中で、子どもの発達についてともに考えていく仲間を探しています。大学院で一緒に子どもたちの幸福につながる研究をしましょう。
佐藤 安子
専門領域:ストレスマネジメント論、健康心理学
研究テーマ
総合病院と一般企業で現場実践者として心理支援に従事してきました。武庫川女子大学臨床教育学研究科博士後期課程でストレスの自己統制機序をテーマに研究し、これをもとに対人援助職者自身のストレスマネジメントの仕組みについて研究しています。
「科学する目」と「自他を受け止めること」は表裏一体です。これらを織り上げる力を学び、そして楽しみましょう。フィールドは大切な先生で、対人援助に携わる人は自分自身が援助の手段です。
佐藤 淳一
専門領域:臨床心理学,力動的心理療法(精神分析的心理療法)
研究テーマ
臨床心理士資格取得後は心理臨床、精神科クリニック、スクールカウンセリング、児童養護施設、私設相談の領域で心理臨床実践を行ってきました。 支援の対象は子どもから大人まで、健常水準からさまざまな病態水準、遊戯療法から表現療法、心理カウンセリングまで多岐にわたっています。 前職は教育大学に勤めていたこともあり、不登校の子どもや保護者への心理的支援に当たる機会が多くありました。 困難事例と出会う中で、ケースフォーミュレーション能力や関係性のなかで起こる転移/逆転移を養う必要性を痛感し、 2014年度から対人関係論に基づく精神分析的心理療法家の養成訓練を受けてきました。
研究のオリジナリティは,いかに斬新な問いを立てられるか、 粘り強く疑問を持ち続けられるかにかかっています。 研究の種は、誰しもわかりきったことや見向きもされないことに隠れています。